血液型で性格が決まる、という話を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?「A型は几帳面で真面目」「B型はマイペース」「O型は社交的」「AB型は二面性がある」など、こうしたイメージは日本では特に根強く信じられています。しかしこのイメージにより偏見や不当な扱いを受けることに悩む人も少なくありません。
実際のところ、血液型と性格には本当に関係があるのでしょうか?
結論を言うと「血液型性格診断には科学的根拠はない」です。
この記事では、そうした悩みを抱える人への解決策を提案します。
血液型性格診断の歴史
なぜ「血液型で性格が決まる」という考え方が生まれたのでしょうか。
血液型性格診断の歴史を見てみましょう。
1900年:ABO式血液型が発見される。
1916年:日本で初めて、血液型で性格を診断するという考え方が世に出る。
1927年:古川竹二氏による論文「血液型による気質の研究」が発表され日本で広く信じられるようになる。
1930年:第一次血液型ブーム
1934年:急速にブームが衰える。
1971年:能見正比古氏による『血液型でわかる相性』が出版され、第二次血液型ブームのきっかけとなる。
1980年代以降:ブームは下火になるも、テレビなどのメディアを通じて一般社会に浸透していく。
血液型性格診断が世に出たのが大正5年、意外と歴史が古いのに驚きました。
血液型性格診断が広まった理由はバーナム効果
当初は日本軍が兵士の管理ために研究していたようです。
近年ではテレビ番組や人気歌手が歌う歌詞、雑誌の特集などで血液型性格診断に人気が出ました。一方で早くから「科学的根拠がない」や「差別に繋がる」と否定的な意見も出ていました。1980年代には大規模調査が行われ、2000年以降も世界的に調査されており、血液型と性格の相関関係は否定されています。
それでも血液型性格診断が根強く浸透した理由は「バーナム効果」と言われています。
バーナム効果とは
バーナム効果とは、曖昧な発言や記述など誰にでも当てはまるようなものを見聞きした際に、「自身のことを当てられている」と思ってしまう現象のことです。多くの人に当てはまる事柄を言われて自分のことだと感じる心理現象のことを指します。
バーナム効果のメカニズム
- 曖昧な発言や記述を聞いて、自分に当てはまると思う
- 自分に当てはまると思った内容について、自分の経験や思い出を探す
- 自分の経験や思い出と関連付けることで、その発言が自分のことを言い当てていると確信する
- 確信した内容について、他の人にも自慢したくなる
このように、バーナム効果は曖昧な内容を自分に当てはまると勘違いし、自分の経験と結びつけることで強化されていきます。
血液型と性格の関係は科学的には根拠がない
血液型が決まる仕組み
そもそも、血液型はどう決まるかご存じですか。
血液型を検査する場合、血液を赤血球と血清に分けます。赤血球の表面には「抗原」と呼ばれる物質があり、血清中には「抗体」と呼ぶ赤血球と反応する物質があります。
たとえば、A型の人の赤血球表面にはA抗原があり、B抗原はありません。血清中にはB抗原と反応する抗体(抗B)があるのでB型の赤血球とは反応しますが、A抗原と反応する抗体(抗A)はないので、自身の赤血球と血清は反応することはありません。
この仕組みにより、A型の患者さんにB型の赤血球製剤を輸血してしまうと赤血球が破壊され副作用が起こります。
一般に知られているのがABO血液型というだけで、じつは血液型は種類がたくさんあります。
(抗原の種類だと300以上!)
血液型は遺伝によって決まり、両親から受け継いだ遺伝子の組み合わせで決定されます。
血液型性格診断の科学的根拠は?
血液型と性格に直接的な関係があるという科学的な証拠は存在しません。いくつかの研究がこの関係性を調べてきましたが、ほとんどが「血液型は性格に影響を与えない」と結論づけています。
例えば、心理学者や統計学者による大規模な調査や実験では、血液型と性格特性との間に有意な関連性が見つからなかったと報告されています。これらの研究では、性格を決定するのは遺伝子、環境、経験などの複雑な要因であり、血液型はその中に含まれないとされています。
血液型に頼らず、個々の性格を理解しよう
血液型で性格が決まるという話は、科学的な根拠がない都市伝説の一種です。
私たちの性格は、遺伝や環境、経験といった多くの要因が絡み合って形成されます。ですから、自分や他人の性格を理解する際には、血液型に頼るのではなく、その人がどのような経験を積み、どんな価値観を持っているかに目を向けることが大切です。悩みを感じたときは、周りに助けを求めることも忘れず、自分らしさを大切にしてください。ポジティブな視点を持ち、自分の人生をより良いものにしていきましょう。
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